学校に行きたくないのは甘えなの?登校したくない理由と対処法を紹介
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高校生や中学生が「学校に行きたくない」となったとき、「甘え」と思ってしまう人もいます。
しかし、甘えだと思って無理に学校へ行っても、疲れてしまったり、もっと学校に行きたくなくなったりしてしまうため、注意が必要です。
この記事では、学校に行きたくないのは甘えなのか、行きたくない理由を紹介します。
学校に行きたくないときの対処法も紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
学校に行きたくないのは甘えではない
「学校に行きたくない」と言うと、「それは甘えだ」「私にもそんな時期があったが、結局は甘えていただけだった」など否定的な意見を聞くことがあるかもしれません。
結論からいうと、学校に行きたくない=甘えと決めつけるのはNGです。
「学校に行きたくないなんて考えるのは甘えなんだ」と思い込んでしまうと、心のSOSに気づかずに無理してしまう可能性があります。
学校に行きたくない理由は人それぞれですが、行く気力がなくなっている状態で無理に登校しようとすると、体調も崩してしまうでしょう。なかには、朝は体調が悪いけど、学校に行かなくてよくなったら元気になるという人もいるかもしれません。それも、心のSOSです。
学校には行かなくてはならないと考える人でも、いろいろストレスを抱え、限界ギリギリまで頑張ってしまったら「行きたくない」となります。
それは悪いことでも、甘えでもなく、心身が休みを必要としているサインなのです。
不登校は親への甘え?
1日2日だけでなく、休みが長期になってしまう人もいます。不登校になった場合、学校よりも家にいるほうが安全だと思っている可能性が高いです。
また、メンタルがすり減っている状態で、誰かの助けを必要としているとも考えられます。
そんなとき、子供が頼りにするのが親です。
学校に行かなくても親は見守ってくれる、つらい気持ちを理解してサポートしてくれると、ある意味甘えているのです。
学校に行きたくないとなるほど、精神的に弱っている子供が1人で立ち直るのは難しいでしょう。
「不登校なんてダメだ」と頭ごなしに叱ることなく、まずは学校に行けるメンタルまで回復するようにサポートしていきましょう。
学校に行けていない生徒の割合
学校を休んでいる人の割合は、実は少なくありません。
ここでは、実際に学校に行けず、休んでいる人たちの割合を高校生・小中学生に分けて紹介します。
参考:令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要-文部科学省
高校生の場合
令和4年度に文部科学省が行なった調査によると、不登校でいる高校生の割合は2.0%です。
前年度から増加しており、60,575人の高校生がさまざまな理由から学校に行けていません。
小・中学生の場合
上記と同じく、令和4年度に文部科学省が行なった調査によると、不登校でいる小・中学生の割合は3.2%です。人数は299,048人で、これは過去最多です。
前年度が2.6%で、高校生と同様に増加した結果になっています。
学校に行きたくない理由
ここでは、高校生や小・中学生が学校に行きたくないとなる理由を紹介します。
ストレスが溜まっている
過度にストレスが溜まっている人は、学校に行く気力が湧かずに「行きたくない」となります。
ストレスが溜まっている原因は、学校内に留まりません。
家庭内で問題があり、ストレスが溜まっている場合でも学校に行きたくないとなるでしょう。
ストレスの限界はある日、突然訪れます。
それまで頑張れていたことも、限界を突破してしまうとできなくなってしまうことも。
「以前はここまでできていたのに…」と考えず、ストレスの原因を1つずつ取り除いていきましょう。
クラスの人間関係に悩んでいる
クラスの人間関係について悩んでいて、なかなか解決できなかったり、悩みが深くなったりすると、学校に行きたくなくなることもあります。
- 友だちと喧嘩した
- クラス内に派閥があってギスギスしている
- 苦手な子と一緒に課題をしなければいけない
など
ほかの人から見ると「そんなことで休みたいだなんて甘えだ」と思うかもしれませんが、本人にとっては重大な問題です。
子供にとって学校やクラスというのは生活に深く関連した場所なので、問題が発生すればストレスがかかりやすいでしょう。
先生とウマが合わない
担任の先生とウマが合わない場合も、学校に行きたくない理由になります。
高校生や小・中学生にとって、クラスの担任は悩み事があったときに相談しやすい相手です。
その相手とウマが合わないと、困ったことがあっても相談しにくく、悩みを抱えやすくなるでしょう。
また、担任以外に、教科担当の先生とウマが合わない場合も学校に行きたくないと思う原因になることがあります。
その先生の授業を受けるのが嫌で、特定教科がある日だけ学校を休むというケースもあります。
いじめがある
学校に行きたくない理由として、いじめも挙げられます。
いじめと言っても、さまざまです。暴力を受けている、金銭を搾りとられている、物を隠されている、陰口を言われている、無視されているなど、目に見えるものから、見えないものまであります。
暴力を受けていれば目に見えて親も気づけますが、それ以外は周りも気づきにくく、深刻化している可能性も高いです。
いじめから自分を守るために、学校に行くのを嫌がるようになります。
勉強についていけない
勉強についていけないと、だんだんと学校に行くのが嫌になります。
学校の授業は1人1人のペースに合わせて進むわけではないので、内容が理解できなくても次に進んでしまいます。
あとから自分で復習したり、先生に聞きに行ったりして、理解できれば良いですが、分からないままどんどん先に進むと勉強についていけなくなるでしょう。
結果、授業が面白くない、何をやっているのか分からないと感じ、学校に行きたくなくなります。
進路に不安がある
中学生や高校生は、進路を決める時期があります。
行きたい高校や大学が決まっても、必ず入学できるとは限りません。試験で合格するか分からない、自分の学力ではもっと頑張らないとダメだと言われたなど、受験に対するプレッシャーでメンタルがまいってしまう人も。
また、周りが進路を決めるなか、自分は何をすればいいか分からない人は、焦りや不安を感じてネガティブな思考に陥りがちです。
結果、気分が塞いで学校に行くのが嫌だと感じることもあります。
家庭内に問題がある
学校に行きたくないとなる原因は、学校内にあるとは限りません。
家庭内に問題があるときも、学校に行きたくなくなります。
たとえば、両親の離婚など、家庭環境が大きく変わった場合、メンタルが不安定になって学校に行くのが嫌になることがあります。
また、家族とうまくいっていないときも、学校に行く気力が失われてしまうでしょう。
学校に行きたくないときの対処法
ここでは、学校に行きたくない子供がとるべき対処法について紹介します。
信頼できる人に相談する
何かしらの問題を抱え、学校に行きたくないというときは、誰かに相談してみましょう。
相談相手は、信頼できる人が望ましいです。話しにくいことまで伝えることになるかもしれないので、「この人になら全部話しても大丈夫」と思う相手に相談しましょう。
周りに相談相手がいないときは、公共のサービスを利用することも検討してみてください。
【公共の相談先】
- チャイルドライン
- 若者メンタルサポート協会
- こころのほっとチャット
- 24時間子供SOSダイヤル
など
安心できる場所で休む
学校に行きたくないのは甘えではなく、心が休息を求めているからかもしれません。
まずは、安心できる場所でゆっくり休むことを考えましょう。
無理に学校へ行くと、どんどんストレスを溜めていき、ついにはキャパシティを超えてしまうかもしれません。
風邪でもないのに学校を休むことに、罪悪感が出てきてしまうこともあるでしょう。
しかし、心を回復させるのに休むことは、学校に行くために必要なことなのです。
目には見えないかもしれませんが、疲れ切った心を癒すために必要な休みだと思って割り切るようにしましょう。
保健室登校を検討する
学校に行きたくないけど、休むのには抵抗がある、教室に行かなくていいなら登校できるという場合は、保健室登校を検討してみてはいかがでしょうか。
教室よりも人が少なく、落ち着いて勉強ができるかもしれません。
学校によって対応が異なりますが、教室登校が難しいときはまず親に相談し、担任に保健室登校ができないか聞いてみましょう。
転校する
どうしても学校に馴染めない場合は、転校することも検討してみましょう。
学校ごとに雰囲気は異なるため、Aの学校は合わなかったけれど、Bの学校に移ったら少しずつ慣れて登校できるようになることも考えられます。
高校生の場合、小・中学生と比べて転校は難しいのではないかと思うかもしれませんが、できないということはありません。
全日制の高校は転校を受け入れているケースが少ないですが、通信制の高校の場合は年度途中入学者が多くいます。
転入試験を受けるなど条件はありますが、転校は可能です。
どうしても今の学校ではやっていけないと感じたら、親に相談してみましょう。
学校に行きたくない子供に親ができること
子供が学校に行きたくないと言った場合、親の対応も重要です。
ここからは、学校に行きたくないと言う子供に対し、親がとるべき行動や気をつけることを紹介します。
子供の様子を観察する
子供が「学校に行きたくない」と言い出したらまず、どのような様子か、よく観察してみてください。
「もう少し行ってみよう」「今日は休んでもいいけど、明日は行こうね」と励ましたら、学校に行くかもしれません。
しかし、学校に行ったとしても本当は無理をしている可能性があります。
「親に言われたから学校に行かなきゃ」と無理を重ねると、子供の心はどんどんすり減ってしまい、最終的にはまったく学校に行けなくなるかもしれません。
子供の様子をよく観察し、無理に登校させないようにしましょう。
家では元気な姿を見せていても、登校するときになると塞ぎ込んでしまう場合は、休息が必要かもしれません。
否定せずに話を聞く
子供が「学校に行きたくない」と言ったら、理由を聞く親が多いでしょう。
理由を聞くときに注意したいのが、子供の話を否定しないことです。
学校に行きたくない理由をきちんと言語化できない子供もいます。「なんとなく嫌だ」と言われたら、甘えているなと思うかもしれません。
しかし、そこで「そんなことで社会に出てやっていけるのか」など否定的に答えてしまうと、子供は親を頼れないと思って正直に話してくれなくなるでしょう。
また、理由によっては親に言いたくないと口を閉ざしてしまう場合もあります。
理由を話さない場合でも「本当はズル休みしたいだけだろう」と決めつけず、子供が話してくれるまで根気強く付き合うようにしてください。
強引に登校させない
子供が学校に行かないとき、強引に登校させようとするのは逆効果となる可能性があります。
学校に行きたくない理由があるのに、親に認められず無理やり登校させられた場合、その場から逃げるために家出などの手段に出るかもしれません。
また、我慢して学校に行っても子供のメンタルが回復するわけではありません。
反対に、心をすり減らしてもっと学校に行きたくなくなる可能性が高いです。
一度休ませて様子を見ながら、週2〜3回保健室登校から始めてみるなど、できることから始めてみてください。
学外活動を勧めてみる
子供が学校に行きたがらず、休んでいるときは学外での活動も考えてみてください。
学校の雰囲気が合わなくても、学外での活動なら楽しく過ごせることもあります。
今はネットが普及し、子供でもSNSで外の世界と関わりを持てるため、オンライン学習などで新しい世界を知るのも良いでしょう。
できるだけ外の世界とのつながりがなくならないようにしましょう。
学校だけではない広い世界を知ることで、子供の興味が見つかり、前向きな活動につながる可能性もあります。
生活が乱れないように注意する
子供が学校に行かなくなった場合、生活リズムが以前と大きく変わらないように注意しましょう。
学校で苦しんだからといって、甘やかしすぎると元の生活に戻りにくくなるかもしれません。
特に夜更かししないように、起床・就寝のリズムを崩さないように気をつけましょう。
もし、朝どうしても起きられないようであれば、起立性調節障害といった病気が原因の可能性もあります。気になる症状があったら、病院で診察を受けるようにしてください。
また、勉強もやらずにいるとどんどん遅れていくので、自宅学習の習慣を身につけると良いです。
心身が回復していない状態での無理は良くないので、様子を見て、子供に余裕が出てきたら勉強するように促してみましょう。
学校に行きたくないのは甘えとは限らない
「学校に行きたくない」と言ったら、甘えに聞こえるかもしれません。
ですが、切実な心からのSOSである可能性があるため、軽く見ないようにしましょう。
学校に行きたくないと思ったら親と子供で相談し、ゆっくり休んでみてください。保健室登校ならできそうという場合は、学校にも掛け合ってみましょう。
できることに取り組み、無理はしないことが大切ですよ。